4つの分野に重点を置く総合対策

令和4年10月28日に新たな経済政策である「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が閣議決定されました。

今回の経済対策は、

  • 物価高騰・賃上げへの取組
  • 円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化
  • 「新しい資本主義」の加速
  • 国民の安全安心の確保

という、4つの柱から構成されています。

概要や詳細については、「内閣府ホームページ」に掲載されていますので、気になる方はご覧ください。

今回は、その中でも特に中小企業に大きな影響を与えるであろう「物価高騰・賃上げへの取組」について簡単に触れていきます。

賃上げへの取組

賃上げ対策として、物価高騰をカバーできるくらいの賃上げを目標としており、地域間格差を考慮しつつ全国最低賃金平均額を1,000円以上になるよう引き上げに取り組むようです。

現在の全国平均が961円であることから、おそらく来年の最低賃金引上げ額も今年と同様、大幅に増加することが予想されます。(今年の平均は31円)

物価が高騰している今、収入が増えることは喜ばしいことですが、経営者には大きなプレッシャーとなることも事実です。

それでは、今回の政策で賃上げを行う事業者に対する支援にはどのようなものがあるのでしょうか?

現時点で、企業に対し一律または一定割合での支援は明言されていないため、実施の可能性は低いと思われます。

ただし、事業再構築や設備投資による生産性の向上に努める事業者については、「補助金に上乗せする形で支援」があるようです。

既に実施されている業務改善助成金や事業再構築補助金を拡充し、賃上げ計画の内容に応じて補助割合や補助上限額が引き上げられるものと考えられます。

新たな借換保証制度で資金需要に対応

新たな経済対策が発表された後、すぐにニュースとして取り上げられたのが、「新たな借換保証制度」です。

賃上げやコロナ緊急融資(通称:ゼロゼロ融資)の返済等の資金需要への対策として設けられる制度となります。

9月に申し込みを終了したゼロゼロ融資は、6月時点で融資実績は234万件、42兆円と多くの事業者が利用しています。

そのうち、6割の事業者では返済がスタートしており、2023年7月、2024年4月には返済開始事業者数はピークを迎えます。

この返済負担を軽減すべく、新たな借換保証制度が創設される見込みであり、現在、中小企業政策審議会で検討中の状態ですが、主な施策として下記の内容が公表されています。

  • セーフティネット4号の場合、保証料は0.2%
  • 保証限度額を10億円に設定
  • 100%保証融資は100%保証での借換が可能
  • 保証期間は10年以内(据置期間は最長5年)
  • 利益率が減少した企業も対象となる。

なお、この制度は返済負担軽減だけでなく、「収益力の改善」も大きな目的となっています。そのため利用するためには、①金融機関による伴走支援、②経営指標の向上目標を設定した経営行動計画書の作成が条件として設定されます。

金融機関の支援を受けながら計画を作成することで、実現可能性の高い抜本的な計画とすることが狙いです。

もちろん、金融機関がゼロから計画を作ってくれることはありませんので、計画の方針や行動計画は自社でしっかりと検討する必要があります。

弊社では、金融機関が納得する「実現可能性の高い経営計画」を策定するサポートを行っております。

この制度の利用をご検討される際には、ぜひご相談ください。